良い道路を定義 伊藤
交通の手段としてよりも生活の場としての道路、という考え方に魅力を感じる。オランダではボンネルフという歩行者と自動車の共存を目的とした道路整備方式があるそうで、道路を蛇行させたり、花壇を設けたりすることで、車の速度を自然に抑え、歩行者との距離感を縮める工夫がされている、といった特徴があるみたい。何かの語学番組のテレビを見た時に、住宅地の道路を日時を決めて子供の遊び場として開放する活動を手伝うボランティアをやっている人が出てきたことがあった。ヨーロッパでは道路を子供の遊び場にしようとする活動があるみたい。家と家は道路で繋がっている。家庭と家庭、世帯と世帯、生活と生活、地域の誰かと誰かを物理的に繋げているのが道路で、車を通す以外にも重要な役割があって、その役割を今一度しっかり思い出してみたい。住みたくなるような街というのは、その街の道路がどんな風なのかが重要な要素となりうる。僕は住居探しの時、近所にちゃんと野良猫がいるかどうかを判断材料にしていて、野良猫が安心して暮らせる地域は車がビュンビュン走らない所で生活しやすいはずだ、というのが理由。区画整理が進んでなく、車が通りにくいぐらい道が細くて入り組んでいる下町は、何となく気持ちが安らぐ。