内装変速 伊藤

科学技術を日常生活や身の回りのイメージから考えてみたいと思って書いています。今回は自転車。最近自転車のリアホイールのハブから鳥のさえずりみたいな音がするようになりました。通勤で毎日2時間近く乗る大切な道具なので、メンテナンスしました。チェーンではなくタイミングベルトを使った自転車で、このベルトはもう廃盤になってしまったようです。ギアは内装変速で、リアハブはこの内装変速を組み込んだ一体型です。この部品ももう2・3回のモデルチェンジをしているようで、互換性の保証された部品はもう手に入らなさそうです。このユニットを抜き出して清掃。内装変速は遊星ギアを使った複雑な機構というのはなんとなく聞いたことがあったのですが、実物を見るのは初めてです。ほとんどが覆われてしまっていますが、多段の遊星歯車がはっきり見えていて、奥の方には中心の太陽歯車がぼんやり見えました。外周の内歯車はよく見えません。外側にはベアリングの玉のついたボールリテイナーがあり同じようにローラーのついたベアリングっぽい部分があります。ちょうどビックのホルダー用スパナと同じ機構と思われます。片方には空回りするが、反対には回らない機構。通常の自転車だとラチェット機構が入っていて、後輪の空転時はカチカチなる部分。この自転車は空転時にカチカチ音がなくて、となると多分こういうのが入ってるんだろうなーと思っていたそのままの物が入っていました。遊星歯車は、3軸のうちの一つを固定して使用する機構で、固定要素としてこの機構が働いているのかと想像できます。その後、専用オイルに入浴させて、ベアリング・歯車にグリスを塗りました。ケースに戻してベアリングの玉あたりをガタつかず、渋すぎず程度に締めてダブルナットで固定しました。鳥のさえずり音がなくなり、新品の頃からあったしゃりしゃりした音さえもなくなりました。ここまで良くなるとは思いませんでした。自転車はこうやっていじってるうちに、そのうち全部わかりそうな気がするシンプルさが魅力と思います。そういうメカは、身近には意外に無い気がします。