車両性能 伊藤

平安時代の牛車は貴族のための乗り物で、交通法上、身分の高い人に道を譲るルールがあり、そうなると車両のデザインで身分の高さをはっきり表現する必要があり、材質やデザインで何段階かのグレードがついていたみたい。引っ張る牛にもグレードがあって、高級車には高級牛、という組み合わせ。車両につけるエンブレムとして家紋も誕生したとか。ルールが先にあったのか、見栄が先にあったのかは分からない。車輪の軸受けがどういう仕組み・材質だったかの情報があまり見つからない。軸は鉄だったのか? 京都かどこかのお祭りでギシギシ言わせて進む牛車の映像を見るに、回転摩擦はかなりのもので、坂道なんてとても上れ無さそうな雰囲気。かつて物流の主役が水路だったというのは現代の生活から想像するのが難しいけど、それは現代の車輪が軽やかに転がれるようになったからで、転がりが渋すぎた時代では水運の軽やかさがずっと光っていたのだと思う。